「でも俺は、」

『俺が有佐のこと好きだって弘人先生に言ったとき、弘人先生ももしかしてって思ったよ。』


でも俺は有佐を好きな気持ちを表に出したことはないと言おうとした俺を遮って伊吹は続ける。



『まさか抜け駆けされるとは思いませんでしたけど。』


もう何も言えなかった。

言い訳も弁解も、今の伊吹には何も通用しない。



『弘人先生が載ってる雑誌、有佐に見せられましたか?』

「あぁ…伊吹に貰ったって。」

『欲しいって言われたときに、あぁ有佐は弘人先生のことが好きなんだなって思って。それで何か焦って…今までそんなに話したこともなかったけど、それから必死に有佐を追いかけてきたつもりです。』


知ってるんだ。

分かってるんだ、全部。



『結局告ることもできないままダメになったけど、何か今すげぇ納得してるんすよね。相手が弘人先生で。そりゃ追い付けないはずだわって。』


違う。

俺は伊吹が思ってるような、そんな追い付けないような相手じゃない。