「俺たちも行こう」
大淀に促されて樹を見る。
「樹も一緒に行こう」
聞こえているはずなのに返事がない。
回り込んでのぞき込んで、腕をチョンチョン突っつくと、ツーンとすました口元がプスッとほどけた。
「みんなで遊んできな。俺、朝の涼しいうちに寝とくから」
なんて、もう足を投げ出している。
「怒ってるの?」
恐るおそる訊いたら、
「あーんなバカみたいなことで怒るか」
と言われた。
ホントにバカみたい……。
恥ずかしいんならこんな水着着なきゃよかったじゃん。
いくつもいくつも試着して、やっと決めたのに。
樹がなんて言ってくれるか、楽しみにしてたのに……。
我ながら情けなくてシュンとする。