「……お前だからな、それ言ったの」
ボソボソと樹がつぶやいた。
大淀はそんなことにはお構いなしに、Tシャツを脱ぐと、わたしの頭にスッポリとかぶせてくれた。
「大丈夫か?」
「あ、ありがと……」
ありがたいので袖を通して、そのまま着る。
ちらっと横目で見たら、樹はムスッと不機嫌な顔をしていた。
そりゃ、そーなる……。
「あの、ゴメンね?」
ちっちゃな声で言ったら、樹は1回こっちを見て、それからツーンと知らんぷりをした。……う。
「大淀~、早く来いよ」
塩崎と中村が、ビーチボールをふくらませながら、もう波打ち際へと向かっていく。
サホリンとミャンマーも誘いに来てくれた。