「金魚のは、やめたのか?」


おにぎりを選びながら、ぽつりと彼が訊いた。


「へ?」


「金魚の水着」


去年着ていた赤いフリフリの。
覚えていてくれたんだ。




「今年は、ちょっと大人っぽいのにしてみた」


恥ずかしくなって早口でそう答えたら、樹は視線をスッと上に戻した。




澄んだ瞳が、わたしの水着の、えっと……胸元あたりにとまる。




「ひぇ……っ」


思わず両手で胸をおおって隠しちゃった。


「えっ?」


「や、やだ。見たらっ」


それからギュウッと三角座りをする。




「はぁ? 何だよ、それ」


樹はポカンとしている。




だって、やっぱ恥ずかしいもん。
去年とちがって露出度高いし。