「樹、おにぎりどれにする?」
サンダルを脱いでシートに上がり、樹の横に腰を下ろす。
ポリ袋からおにぎり4つ、選んで抱えて持ってきた。
樹はもりもり食べるからね、3つくらいペロッといっちゃう。
「あ、俺、残ったやつでいいよ。あんま食えねー」
ポソッと、彼は言った。
こっちを見ずに海を見ている。
「いい天気になりそうだな」
「ああ、うん」
海がキラキラと光っている。
「食欲ないの? 無理にでも食べとかないとバテちゃうよ?」
おにぎりを4つ並べて、シートに置いた。
「そっか?」
と、樹はそのおにぎりたちに目線を落とす。