「わはは、大淀、お前見とれすぎだってば!」
真横から飛んできた中村の声に顔を上げると、
「うるせぇ」って、大淀が中村の背中をボカッてやった。
「だって大淀、上野の水着姿に目が釘づけになってやんの」
「え」
次の瞬間、真っ赤になった大淀と目が合う。
彼は耳まで赤く染めていて、こんな大淀はもちろん初めてだ。
「あ……えっと」
カァッと自分の頬が火照ってくるのがわかった。
「なーんだよ、お前ら。二人して真っ赤になっちゃって、初々しいなぁ、もう」
中村が大声で冷やかす。
ちょっ、そーゆー言い方は……。
あわてて、奥に座っている樹を見たら、向こうもこっちをじっと見ていた。
目が合うと、気づかなかったような顔をして、樹は目線をよそへやった。