シャカシャカシャカシャカ……。
「あ…」
そのタイミングで樹のケータイが鳴り、彼はみんなから3、4歩離れながら、電話に出る。
「あー…、オンナから電話だ」
大淀がボソッとつぶやいた。
え……。
「あれっ、上野の彼氏って、そーゆー人?」
中村までズケズケと訊いてくる。
「そんなんじゃないよ」
ム、と言葉を返したら、逆に言い返された。
「こーんな朝っぱらから、普通の友だちが電話してくるかなぁ?」と中村。
「昨夜どうして来てくれなかったの?って、もめてるとか」
大淀の言うことはいちいちタチが悪い。
思わず樹を見てしまう。
だけど短い電話はもう終わっていて、彼は隣に来てくれた。