1時間半で足りるの?って、さっきそう訊いたら、樹はわたしの髪を撫でて、


「続きはビーチで寝るからいいよ」


って言った。




ゴメンね、樹……。




運転を仕事にしている樹には、居眠り運転の怖さは、わたしが想像するよりもっと切実なものなのかもしれない。




いきなり熟睡している彼の頬を、プニ、と押してみる。


少しあどけない寝顔は、ビクとも動かなかったよ。






そして――


1時間半が経ち、
樹のケータイのアラームが大音量で鳴り響き、



さぁ、海へ向けて出発だ。