「さわってもいいか?」
樹が大淀を振り返った。
「飛ばしてみてもいいよ。ふわっと押しだす感じで飛ばすと、案外飛ぶから」
マジで? と樹は言われたとおりにやってみる。
「「お―――っ」」
模型飛行機はスーッと、ゆっくり飛んでいき、部屋のつきあたりの机の上に、ふわっと着陸した。
輪ゴムとか何にもついてないのに、不思議…。
塩崎たちが喜んでそれを回収に行き、何度も飛ばして遊びだす。
「物理とか、得意なんだ?」
樹が大淀に訊いた。
「ああ、まぁ、好きかな」
「すげぇな」
ニコニコッと笑った樹の言葉に、大淀がちょっと困惑している。いや、照れているのかな?