「着いて早々悪いんだけど、1時間半だけ寝かせてくれる? それから出発して、夜明けまでには日の出が見えるスポットに連れてくから」
階段をのぼりながら、樹は旅の行程をなぜだか大淀に説明した。
「雲がなければ、みんなで朝日が拝めるぞ」
「……ああ」
無愛想な大淀が、一応返事をしている。
反発しているはずなのに、樹があんまり普通にしゃべってくるから、ペースが狂うみたいで可笑しい。
大淀、根が真面目だからね。
モデルルームの書斎みたいな大淀の部屋に戻ると、樹が「すげぇ…」とつぶやいた。
そりゃあね、部屋は広いし、パソコンとかの機器も最新型っぽいし、高級感があふれている。