「さぁ本番だ、楽しんでいこう」
私も楽しもう。
3STARが登場すると、観衆が盛り上がる。
私は客席から見えない、ピアノのイスに座り待機する。
自分の右耳につけているイヤホンがテンポを打ち始めた。
「そろそろだよ、花恋ちゃん」
卯月さんは、目がキラキラしている。
「はい」
優星と目が合った。
それと同時に、わたしは息を大きく吸って、ピアノを弾き始める。
緊張をパワーに変えて…
3STARを救った曲。
そして、平凡な私をキラキラした日々に変えてくれた曲。
私には、いろんな思い出が詰まった、そんな曲だから…
大切にしたい。
この気持ち、この瞬間。
一瞬一瞬無駄なく生きていきたい。
だからこそ、この時間を大切にしたいと思った。
二度と来ない、かけがえのないこの瞬間…
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