「はい……」
怖ず怖ずと雨宮家の門をくぐる。
伊織に続き中に入ると、家の玄関までは長く綺麗な石畳が続く。
この前は混乱してたからよく見てなかったけど、この家はザ·和風って感じだ。
昔テレビで見た高級料亭よりも立派なお屋敷。
あからさまにキョロキョロとは出来ないため、こっそり周りを見渡す。
「ねぇねぇ。わたし、莉奈(りな)だよ。おねぇちゃん、お名前は?」
私の隣を歩いていた莉奈は私の服を掴み、にこにこと笑いかける。
その笑顔に釣られて私も微笑んだ。
「私は綾川真琴です」
「真琴おねぇちゃんはこのお家に住むの?」
「うん、まぁ」
「真琴おねぇちゃんは、新しいお手伝いさんなの?」
えっ、お手伝いさん!?
何その発想!?
お金持ちジョーク?
莉奈の言葉に驚くが本人は至って普通に聞いたようで。
でもそうか、確かにそう思うかもしれない。
こんな大きいお屋敷だ。現に何人かお手伝いさんはいるみたいだし。そう思うのだろう。
しかしなんか本当、お金持ちの発想だよな。