なんとか話題を見つけてもっと
話していたいと、とにかく頭を
働かせて話した。でも――


「――泰介!!先生来た!!」


来たのは唖棄斗。陸部の顧問が
来たことを知らせに来たらしい。


「今行く」


「あ…。じゃあねっ!!」


泰介は私の声に答える事なく教室を
出たが、こっちを見て優しく微笑んだ。



――ズルい優しさ


――懐かしい優しさ


――大好きな優しさ



これはあなたの凶器だよ。私の気持ちを
押し殺す…。あなたの優しさが大好きに
なればなるほど、あとから込み上げるのは




――悲しさと虚しさ。