「こんにちわ、死神です」

「へ」

「とある人の命が助かったため、数あわせにあなたの命を預からせていただくことにしました。ちなみにランダムに選ばれちゃったので不幸だと嘆くのは勝手ですが、俺に恨みをいだかないでくださいね」

にっこりと、そこにいた、普通の、平凡な顔の少年がいった。

私が考えたのは、頭おかしいんじゃない?とか、暇人なの?とかじゃなく。

ランダムってなんだよ、とか私が選ばれちゃったって何に?とか、数あわせって、人の生き死にそんなに簡単に操れちゃうの?とか。

つまり、ある意味この現実を受け入れたようなことを考えていた。

「……とりあえず、あなたは幽霊ですか?」

は、と死神の少年は間抜けな顔を作った。嫌に人間臭かったから少し笑いそうになった。

「……死神です。幽霊ではありません」

気を取り直したように咳払いをし、少年は答えた。

「つまり、私以外には見えてるの?」

「幽霊は見えないかもしれませんが、俺は死神ですから」

つまり、私は周りから見て、ただ同じ年か、少ししたの少年と話しているようには見えていると。とりあえず、独り言をしているようには見えないようだ。

「えっと、私は、死ぬんですか?それはいやだなぁ、どうにかなりませんか?」

「死んだなんて一言もいってませんよ。あなたの命を預からせていただくことにしました、って言ったんです」

「あずかるって…?」

「世の中には悪いことをする魂がありますよね。それから普通の一般人の魂。それのバランスが保たれているようにするのが俺たちの役目なのですが、つい最近、やたらと素晴らしい出来事が起こって、人が一人救われました。

その救われた人の魂は少し特殊でしたが、普通の魂でしたから、その人のような普通の魂をもつ人々のなかから、あなたがその人の代わりに選ばれました。二度目ですが、ランダムですよ。

というわけで、あなたは死ぬべきか、生きていくべきなのか、判断するために命を預からせていただくことにしました、

というわけなのです」

「思った以上に適当だな死神って」

「俺もそう思います」

そうは全く思っていないかのような笑顔で死神の少年は答えた。

「ってことで、監視させていただきます」