あ、まともにお礼言ってない。

そう思ったけど、もう晴は人混みの中に紛れて見えなくなっていた。

「何あの人!!イケメーン!」

「真紀。やめなよその性格。はしたない」

「あっ春もしかして」

「…何」

「あの人のこと気になっ…ってちょっと春ー!!置いていかないでよ!」

くだらなーい。

恋愛なんて。
好きなんて。
…くだらない。

「はぁ…」
嫌いな春の匂いを目一杯吸ってみる。

「真紀」

「ん?」

「あたし、恋愛しないよ」

だってあんなに傷つくのは、もうゴメンだから。