「鍵、落としたでしょ?」

はい。と言って笑顔で渡してくれた。

「あ…りがと」

男の子とめったにしゃべることなんてないから、何か恥ずかしくなって下を向いてしまった。

「春、またね」

軽々しく呼び捨てしてきたアイツは、春風のように、突然私の前に現れたのだった。