ただ頷いてるだけで、返事は返さない。
木村君の言葉を最後まで聞きたいから。
遠くを見ていた木村君の視線があたしに向けられると、穏やかに笑った。
「それってさ、いいとこ見ようとしないで嫌いなとこばっか探すから嫌いになるんじゃない?」
それにはもう、なにも言えないどころか
頷くことすらできなかった。
「高柳はさ、そんな嫌いなヤツのいいとこ見つけたんだろ?その瞬間って突然だけど一瞬だと思うんだ。だから高柳、それを見つけたって結構凄いことだと思うよ」
優しい顔して笑う木村君が
木村君の言葉が
あたしの心に大きく響いた瞬間
悲しくもないのに涙が出た。