「…おはじき。」


悠が呟いて、あたしは頷く。


水面に色を浮かべたような模様のおはじきが沢山入っていた。




おはじきでよく遊んだ、
それがばあちゃんの大切な大切な宝物。

幸生がいて、幸生の妹もいて、当たり前に遊んだ日常が宝物だったんだ。



おはじきは綺麗なまま残っていたけど、半分はひび割れていた。





「ちづ、泣きすぎ。」


「え?」


「顔ぐちゃぐちゃ。」


「っ煩いなぁ!」



だって仕方ないじゃん。
涙が止まらないんだから。



顔を上げると、言い出した悠も涙ぐんでいる。


「…自分だって!」


「泣いてねぇよっ!」


そう言って、悠は横を向いてしまった。