そのまま新年を迎え真琴たちは

家族でスキー目的の温泉旅行へ行った


薫の方はご両親がハワイから帰国され

三ヶ月ぶりに家族水入らずで過ごしていた


冬休みの間中 

二人は顔を合わす事もなく

あっという間に休暇は終わり 

三学期になった


相変わらず二人は平行線のまま・・・



「もうすぐバレンタインかぁ~ 

真琴は誰に渡すん?」 

ユカリが言った


吉田に渡す事が決まっているユカリは

一緒にチョコを買いに行こうと

真琴を誘っていた


真琴の心は決まっていた

(薫にあげよう・・・)



ーーーバレンタインデー当日



薫は女子たちにもみくちゃにされていた

本命の子もいれば義理の子もいる


わざわざ呼びだして

本気の告白をする子もいた


その光景を目の当たりにした真琴は

気後れしてしまった


まだまだ順番待ちのような

薫のファンを見て

結局渡せずじまいでその日は帰ってきた



薫はショックだった


まさか真琴がこんな思いをして

帰って行ったとは知らず 

真琴は自分に気がないのだと言い聞かせた


もう一歩が踏み出せない二人は

今回もまた遠回りしてしまった 


薫は机の上に山積みになったチョコレートを

かばんに詰め込みながら囁いた


(俺が欲しかったんは真琴のんだけなんや・・・)



真冬のどんより曇った

今にも降り出しそうな空を眺め 


薫の心も泣いていた・・・