3年の送別会のあと監督やコーチ

先輩とは別れ

1、2年で二次会と言う名目で

カラオケ屋に来た


3年生には悪いが

「自分たちには次がある!!!」

という気持ちで比較的みんな明るかった


ただ拓だけは違った


自分の責任…

ホームランを打たれると言う事は

他の誰でもない 

自分ひとりの失策


康平は自分のサインが悪かったと

拓をかばった


でも拓の落ち込みは激しく 

差し伸べられた手を握ろうとはしない


自分をコントロールする力を

その日は失っていた




缶チューハイを何缶か一気して

眼もうつろな拓を見かねて

壮太が拓を送って行く事にした


二人でフロントに向かう途中



「俺…もうあかん、野球辞めたい!

もういやや~ まだ帰れへん~~」


かなり支離滅裂だ


言いたい事を言って少し落ち着いたのか

ソファーに座って俯いている


目を閉じたまま呟いた


「・・・真琴に逢いたい・・・」




(そうか、そうやったんか…!)


壮太は理香を呼び拓の様子を伝え

真琴の携帯番号を拓の携帯に登録した



理香もうすうすこの二人の気持ちに

気付いていた


壮太は拓を家まで送り届けたあと 

また店に戻ってきた




拓は家には入らず 近くの公園にいた


そして携帯をいじっている内に

無意識に電話をかけた


「もしも~し…」声もうつろだ


返事があった


「えっと…そっち誰かなあ!?」


この声を拓が聞き間違える訳などない


真琴の声だ……