あまりにも劇的なサヨナラの幕切れに

客席も静まりかえった


K校の応援団の方が

はるかに多かったから…


真琴たち三人は

無言のまま涙を流した


ぬぐっても次から次へと溢れ出た




やっとの思いで言葉を掛けたのは 

理香だった



悲しみを振り切るように


「お疲れ様でした!今日は有難う

このまま私ら3年生の送別会やから…」



理香はベンチの3年のマネージャーと

打ち合わせのため 

真琴たちに礼を言ってその場をあとにした



残った二人は暫くそのまま

動く事はできなかった


(まだまだ祥子は拓の事を

忘れられへんのかな…?)



真琴は思った 


実らなかったけどその人を思い

痛みを分け合うように

泣ける姿がうらやましい


両思いでなくても 

『好き』と言えるだけでもいい



想いを封印するという事の辛さ…



マウンドに崩れ落ちた拓の姿が

眼に焼きついて離れない



真琴は泣き崩れる祥子を抱えながら

そっと涙を飲み込んだ