代打が登場した!

相手バッターのくせが分からず


ストレートから入った球を

センター前に運ばれた



「まだいけるで!気にすんな~!」


康平が肩の力を抜くように

ゼスチャーして見せる


次のバッターに

うまくバントを決められた


「しゃーない~!次で勝負や!

絶対打ち取ったる!」



 
サインは決まった


大きくうなづいて投げた瞬間


「カッキーーーーン」


白球はライナーで客席へ…




サヨナラ2ラン 



そのまま時間が止まった…



相手ベンチは大歓声で監督、コーチ、選手

入り乱れて勝利を讃えあっている




マウンドには崩れ落ちたまま

動かない拓の姿が…




メンバーはマウンドに集まり

其々に声を掛けたり

肩をたたいたりしている



拓は泣いていた…

泣き崩れて立つ事もできない



悔しくて申し訳なくて 

自分を責めた…





ーーーこの日 

健太郎たち3年の『夏』は終わった