そう思った瞬間…


「おっさん!何やっとんねん!」


「なめたまねしとったら

警察突き出すぞ~~!」



反対側の窓側にいた

K高校らしき男子数人が

厳つい表情で口々に叫んだ


(えっ!?あの子らも

気付いてたんや、恥ずかし~ 

でも助けてくれるんかなぁ…)



その瞬間イヤらしい手の動きは止まり

そのおっさんは次の駅で

彼らに引きずり下ろされた


ミゾオチに膝で蹴りを入れられ

グッタリしたところを

駅員さんに引き渡された


その間私はボケーっとそのシーンを

見ているだけだった 

まるで人事のように…


(K高校やったら理香と同じやん!)



そのまま彼らはその駅でおり

何事もなかったように笑いながら

改札に消えていった


一番後ろにいた,おそらく最初に

痴漢に声を発したらしき男の子が

後ろを向いたまま右手をあげ

“ヒラヒラ~”っと手を振った

・・・ように見えた!


その時初めてお礼も何も

言ってない事に気付いた!!




それが『拓』との出会いだった


その彼が今後私の人生を

大きく変える事になる……