「ホンマに理香のやつ~いつの間に

先輩といい感じになってんよ~!」


祥子は自分より先に彼氏ができた

理香の事が羨ましくてしかたない


理香の話によると壮太先輩は

理香だけでなく

他の女子にも同輩にも後輩にも

実に優しいらしい


ジョークの通じる話せる兄貴って感じで

例の三羽カラスたちも良くなついている



祥子と理香がK校の話題をふるので

真琴も知らず知らずのうちに

彼らの事に興味をもつようになった



(一緒に遊ぶ事が決まったんやから

相手の事知っとくに越したことないか…)




そしてバイトが早番の日には帰りに

K校に寄って理香と

おしゃべりする事が日課になった



もちろん祥子の目的は

“拓に会う”ことだが…



真琴たちは陽が暮れるまで話しこんだ

フェンス越しの彼らを見つめながら…



グラウンドで泥だらけになって

白球を追い 

一緒に大きな夢に向かっている姿に

釘付けになる




今まで外の世界に目を背けてきた

真琴のモノクロの景色が

少しずつ色づき始めた




傾いたオレンジ色の夕陽が 

彼女らの頬を 

優しく染めていた…