「もう薫くんの事はええんか?」


拓が言いにくそうに聞いてきた

でもこの事だけは避けては通れない



「薫の思い出は消える事はないけど

思い出はもう過去のこと…


もう私の中では消化できてるよ

それに薫が言ってくれてる気がする


早くいい恋しろよって…」



「無理して忘れんでええんやで~

一緒に乗り越えていこっ!」


二人は見つめあった

この二人に周りは見えていない


自然と顔が近づく



「拓!!!」


気がつけば真後ろに恭二がいた


ニヤニヤと笑いながら

「店の温度上げんなよ~!

疲れたからビリヤード代わって~」


そう言ってキューを拓に渡した



自分は勝手にドリンクを作って

黎子と二人でVIPルームへ消えていった




振り向くと壮太と理香が手を振っている


「よっしゃ~真琴見といてなっ!

俺けっこう巧いんやで!」



拓は軽い足取りで台に向かっていった


その後を真琴が追う




遠回りした二人だった


決して平坦な道のりではなかった



しかし今二人は共に歩み始めた


同じ方向を向いて…