真琴                            

ここ最近よく薫の夢を見る



夢の中の薫はあの日のまま

太陽のような笑顔で真琴に会いに来る



真琴は夢の中だと解っていても

幸せだった



目覚めてももう涙する事はなかった



遠くにいる恋人に週に一度だけ逢える…

そんな気分だった






以前は夢で薫の声を聞く事はなかった

ただ寂しそうに笑っているだけ



この世に未練を残しているように

悲しく笑うだけ…



でも今は違う

薫は真琴に話しかける




『もう俺はあっちへ逝くよ…

元気な真琴を見て安心したよ…


真琴は自分の選んだ人と幸せになってほしい

それだけがこの俺の望みやで…』




毎回そう言って消えていく…


真琴は自分の心に聞いてみる




その度に頭に浮かぶのは

やはり『拓』の顔だった…