拓にとって黎子は特別な存在だった


スランプも黎子の存在とアドバイスで

切り抜ける事ができた


一度は諦めた恋

手の届かない高根の花


その黎子が今こんなに自分の近くにいる


会えば会うほど気持ちは募る



ある夜黎子の家を訪ねた

黎子の母は快く通してくれた


「あれ~拓ちゃんどうしたん?」

「突然すいません…」


拓はキチンと整頓された黎子の部屋に

案内された


「ちょっと飲み物持ってくるから

待ってて~」

そう言って黎子が部屋を出ていく


拓は大きく息を吐き出した


気持ちを素直にぶつける事が大切…

そう教えてくれたのは黎子さんだ


「俺…やっぱ黎子さんの事が好きや

早く大人になるから…

俺の事一人の男と見て欲しい」


拓の気持ちをうすうす感じてはいたものの

あまりにも真直ぐに見つめるその目に

黎子は正直気持ちは揺らいだ


しかしここは大人の女性として

はっきりしなければならない


黎子は凛とした表情でしかし優しく

拓に語りだした