ある晩黎子は塔子の家に来ていた

塔子にとっても黎子は憧れの先輩だった


弟の頼みで拓に会ってもらった件の

お礼に夕食に招待した


父が出張先で買ってきた松阪牛のすき焼きが

美味しそうに煮えていた


半分くらい食べた所で恭二が帰ってきた

「俺の分ちゃんと残してる~?」


黎子の姿を見て慌てて

汗まみれの顔を引っ込めた


慌ててシャワーを浴びさっぱりして

食卓へつく


肉をほおばりながら黎子に言った


「黎子さん、有難う!

拓あれからめっちゃ調子いいっすよ!」


「そうなんや~よかった!

でも私何にもしてないよ…

ちょっと考え方変えると勇気がでたり

するもんなんやね~」


「黎子さん俺の恋の悩みも聞いてくれる?」

と恭二も憧れのお姉さんに甘える


「アホか~あんたにつける薬はないの!」

塔子は恭二の声を遮り

二人で二階に上がっていった


(俺もあんな綺麗な人が彼女やったら

絶対浮気なんかせえへんのに…)



恭二もまた拓と同じ

黎子に恋焦がれる少年だった…