「俺、どうしたらええんやろう…?」


体も大きく大人の男に成長している拓が

黎子の前では4年前の少年に戻る


黎子は胸が締め付けられる想いがした


あの時の黎子は拓の頼みを聞けなかったが

今回はどうにかして助けてあげたかった


もう少し拓に話をさせる事で

拓の本心を読みとろうとしていた



夕貴との別れがキッカケのように思えたが

拓の心に大きく影を落としているのは


夕貴でもない、真琴でもない…


もうこの世にはいない薫に対しての

羨望から来るものだと分析した


“薫以上の男になって真琴を幸せにする”

そう心に誓い頑張ってきたものの


叶わぬ夢に終ってしまった


真琴を取り戻すために喧嘩をしたい相手は

もうこの世にはいない


拓の気持ちはこの時点から前に進めない


吹っ切ったつもりで新しい恋に

向き合おうとした中での

一方的な相手からの別れの言葉…


傷ついたガラスがやっと修復されようと

した時にまた粉々に割れてしまった…