店に内緒で持ち込んだビールや

缶チューハイの勢いも手伝って 

その場は大盛り上がり!


いつの間にか席も変わっている…


もちろん康平と咲季は寄り添い 

デュエット曲を選んでいる


奥のコーナー辺りには恭二とナナ


かなりお酒のまわったナナは

恭二にもたれかかり

恭二は優しくナナの髪を

手でとかしている


こうなると自ずと拓と優衣が

話さざるを得ない


優衣は充分可愛かった…


他の合コンなら男の子に

ひっぱりだこになるはず


大きな瞳の派手な顔立ちからは

想像出来ない

ちょっと控えめな性格も 

また魅力があった


拓はあせっていた…


控えめな優衣の態度でもハッキリ

拓に気がある事がわかる



こんな可愛い女の子に想われて

イヤな気になる訳はない



(……でも違う!何かが違うんや…)



拓は持ち前のサービス精神を封印した

これ以上優衣に気をもたせた上 

あっさりフルことなんてできない


優しさゆえに 

拓は冷たい態度をとらざるを

得なかった…



そんな拓の態度に気付いた優衣は

拓の横を離れ

康平と咲季のカップルに近づき

ひやかし始めた


精一杯の笑顔を無理やり作って…




その雰囲気に気付いた咲季は

そろそろお開きを提案した

みんなそれに同意した



アルコールを持ち込んだ事も

なんとか店員にもバレず会計をすませ


「じゃ~俺は咲季と優衣ちゃん

送っていくから!」

と駅の方向へ歩きだした



恭二とナナは仲良く手を繋いで

駅とは反対の方向へ…


誰も行き先を聞く者はいない



独り残された拓は

フーと大きなため息をついた



「俺、いったい何がしたいんやろう…」


心の奥に灯った恋の火を消し去る事は


どうしてもできなかったんだ…