夕貴は辛い気持ちを吹っ切ろうと

バイトに没頭していた


決して気持ちが晴れる事はなかったが

気を紛らわす事はできた


拓には輝く未来へのレールが敷かれている


このまま付き合っていったとしても

いずれ別れがくるのは目に見えていた


もっと拓の事を好きになって

苦しんで傷つく前に

まだ傷が浅いうちに…


夕貴は悲しい選択のうえ拓に別れを告げた


相手を悩ませないよう

自分の心代わりのせいにして…


それに友達からも聞いていた

気になる事もあった


『真琴』という元カノの存在


ハッキリした理由は解らなかったが

お互い気持ちを残したまま

別れてしまったらしい事…


拓はまだその子への思いを

断ち切れていない


直感でそう感じた


年上の自分ができる精一杯の選択だった