朝からの雨は降り止まず

夕貴も夕方からのバイトのため

どこに行く事も出来なかった


拓の提案で

部屋でDVDを見て過ごす事になった



デッキの中にはあの日のディスクが

入ったままだった


真琴が部屋に来た時の

モノクロの恋愛映画…


一瞬真琴の顔が浮かんだ



「これ好き~!」

咲季がはしゃいでいる


今人気のR&Bのバンドの

ディスクをリクエストした


一瞬の気の迷いを咲季が消してくれた


4人は唱とダンスに夢中で聞き入った




夕貴は改めて拓の部屋に驚く


一人暮らしもできそうな広い部屋に

すべての物が揃っている


棚に飾られたトロフィーや盾

数々の表彰状…


拓のこれまでの華々しい活躍に

気後れする自分がいた



2時間ほどDVDを見たり

おしゃべりをして過ごしたが


夕貴の帰る時間が迫ってきた


「俺、夕貴送ってくるわ~

康平らまだいけるやろ?」


康平らを待たせて家を出た


駅までの道を今度は相合傘で歩く


夕貴は少し二人の距離が近づいたようで

嬉しかった


(ほんまにこんな子が

私なんかでいいんかなぁ…?)


嬉しかった思いをすぐ不安が消して行く…