一通り夕貴の過去を聞いた拓は

自分とは全く違う世界に生きる夕貴を

どう励ましていいのか解らなかった


自分にも最愛の弟を亡くすと言う

悲しい過去があるものの

恵まれた環境で不自由なく

育ったのには違いない


拓は敢えて今の自分の環境を

積極的に話す事はなかった


夕貴が二人の生活レベルの違いに

愕然とすることのないように…




まだ出会って間もない自分に

ここまで話してくれた夕貴の気持ちに

答えたいと思った


この同情の気持ちが自然と

相手を愛おしく思う愛に変わっていった