あの雨の日以来夕貴は気になって

しかたなかった

あの傘の持ち主が…


ズタズタになった心が

あの傘によって救われた気がした


今まで辛い恋で疲れきっていた夕貴には

そんな拓の姿が眩しかった


顔もよく覚えていなかったし

名前も知らない


恋なんて言えるほどもない気持ち

なのになぜか気になってしかたない


夕貴はその駅で同じ時間に

傘を持って待ち続けた…