ある日の練習帰り


「拓~!最近球よう走ってるやん

投げ方軽やかってゆうか~ 

なんかええ事あったんけ?」


康平と拓は

少年野球時代からのバッテリー


「そんなもんあるけぇ~ 

俺の実力やっと認める気に

なったんかぁ?」



「俺は認めてんで~拓!

女でも出来たら

康平が受けられへんくらいの

球ほおるでなぁ~!?」



恭二が顔を出した瞬間 

『バシッ!!』


康平が軽く蹴りをいれ


「お前はいつも遊び過ぎで動き悪いんじゃ~

レギュラー落ちすんぞ!」


そんな二人を見て笑っていた拓だが



(康平のやつ、鋭いやんけ…)



最近自分でも不思議なくらい

気持ち良く投げれている

拓の中にほんの小さく芽生えた

淡い気持ち



その蕾が今後大きくふくらんで

いく事になるとは


その時は……


本人でさえも気付かないでいた