夜の最終の検診時は異常はなかった

薫の体調も安定していた


朝6時に看護婦さんが薫の病室を

訪れた時には

もう薫は息を引き取っていたそうだ


たった一人でこの世を去った薫

あまりに突然の事だった


享年16歳…

2年の闘病の末ついに薫は力尽きた


響さんによると1つ不思議な事が

あるらしい


薫が亡くなる少し前

体調管理のデータをとる計器の針が

一瞬大きく振れていたそうだ


そのあと5時45分以降は

針は0を指したまま動く事はなかった


「やっぱり……」

私はその場に絶句した



薫は私に逢いにきてくれた


『もう俺がおらんでも真琴は心配ないな』

そんな風に笑って去って行った


薫は私の最後の報告を聞いてくれた

そして私を許し、安心させる為に

わざわざやってきてくれたのだ…


薫…ありがとう…


でもこんな形ではなく

怪我を克服した姿の薫に逢いたかったよ


あんな事もこんな事もあったな~って

語り合いたかったよ


思えばきりがない…




でもこれが悲しい現実


この悲しい現実をすぐさま受け入れる事は


この時の私には出来なかった…