拓はスキップをするような

軽い足取りで階段を駆け上がる


(この子合宿で疲れてないんかな~)


不思議に思いながらも

拓の後に続き部屋に入る


拓は素早く間接照明に切り替えたので

部屋はほんのり薄暗い


セットしてあったDVDをかける

画面からモノクロの

恋愛映画が映し出された


(拓ってこんな演出も出来るんやぁ…)


ふたり並んでラブソファーで観賞する


ドキドキと鼓動が早くなる…

映画の内容なんてどうでも良かった


拓の手が私の肩を抱く

二人の唇が重なる…


「真琴…愛してんでぇ~!」


そう言って素早く私を抱き上げ

そっとベッドにおろした


「ほんまに俺でええんか?」

「うん…拓やからいいねん……」


拓の手が私のセーターにかかった


“ガタン”


「あっ…何か音せえへんかった?」


私の問いかけに拓がながした

「気のせいちゃう?」


今度は拓の手がキャミソールに触れる


“ガチャ”


今度は確かにドアが閉まる音が聞こえた

続いてリビングの戸が…


「えっ!?」

ふたり同時に顔を見合わせた



「拓~ただいま~!誰かお客さん~?」

母が帰って来たのだ


私は慌ててセーターを着込んだ


(あのババア…今日は泊まりちゃうんけ)


二人は仕方なくリビングに下りた