家に着くと鍵が掛かっている

シンとした家には誰もいない


拓の母はカルチャースクールの新年会で

有馬の温泉に出かけていた


「何やねん…息子が疲れて

帰ってきたっちゅうのに呑気やの~

まぁいつもの事やし、その方が都合ええか…」


拓の妄想はまだ続いていた


洗濯物を洗濯機に放り込み

シャワーを浴びる


もうそろそろ真琴が着く頃だ

拓は駅まで向かえに出た


改札の向こうで笑顔で手をふる真琴がいる


(可愛い…なんて可愛いんやろう

やっぱり俺の天使や!)


「拓、お疲れさま!なんか買っていく?」


「俺なぁ~真琴になんか作って欲しいなぁ…

しんどなかったらでいいけど」


「いいよ!頑張った拓にご褒美やな!」


そう言って近くのスーパーに寄った


「偉そうに言ったけどパスタくらいしか

できへんねん……」


申し訳なさそうに真琴は俯いた


「ええよ!毎日日替わりパスタで…」


(えっ!?毎日って…)


拓の何気ない一言で二人は意識しあい

私は恥ずかしくなった


そんな私の手をとり店に入っていく拓


あまり強引ではない拓の珍しい行動だった


買い物を済ませ拓が両手に荷物を持ち

家に向かった