二学期になるとすぐ

私たちの学校では高野山への

宿泊研修が行われる


仏教を重んじるこの学校の伝統の行事

信者でもない私たちは

避暑地への旅行気分だった


本山への長い登りの山道はきつく

食事も精進料理


しかしお風呂は最高だった

日本三大美人の湯で知られる

竜神温泉に浸かり身も心も癒された


宿舎はお寺だったので消灯は早いが

祥子、由紀、エリカの

私たちの班のメンバーは中々寝付けない


まぁ初めから寝る気もなく

先生の見回りが終るのを待って

由紀が切り出した


「あんたら~恋の方はどうなってん?」


あんたらと言うのは私と祥子


由紀とエリカには彼氏がいる


先に祥子が答えた


「実は今日聞いてもらおうと思っててん!

理数科の山崎圭太って知ってる!?」


「知ってる~!結構人気あるよな~

まさか祥子、つきあってん?」

みんな一斉に攻め立てる


「実は昨日告られた・・・

それで今日みんなに相談しようと

思っててん」


圭太はこの学校のトップクラスの理数科で

おまけにバスケ部のレギュラーだった


ひょろっと背が高く

イケ面ベスト10に入っていた


中学時代の彼女と

最近別れたという噂だった


「いっとき~!ベスト10で彼女なしは

山崎とあと今井だけやで!」


そんな事で決めることではないが

取り敢えず祥子は

付き合ってみる事にしたようだ


次は私の番


私は祥子の様子に安心して

まだ恋というわけではなかったが



拓の事を話した・・・