2年の冬の行事である

スキー合宿が近づいた


学年全体が慌しい

真琴のクラスも活気づいていた


みんな薫の事を忘れた訳ではない


ただ、まだ14歳の

彼らにとっては毎日がイベント


変化する日々に流されていった


理香や奈央、ユカリたちは親身に

真琴を励まし続けている


周りの子のように興味本位に聞いたり

言葉をかけたりするのではなく

心から祈ってくれていた


「真琴~薫のお土産何にするん!?

忘れたらあかんで~」


「そうそう、アイツ焼きもちやきやから

忘れたら拗ねるで!」


そんなジョークで私を励ましてくれた

薫と一緒に闘う目的をもった私は

素直になれた

少しだけ前向きにもなれた


教室の一番陽当たりの良い場所に

千羽鶴が飾ってある


薫は忘れ去られる存在ではない

あんな明るい太陽が翳る事なんてない



きっとこの教室に


戻ってくると信じている・・・