生死の峠は越し

事故から一週間がたった


薫の意識はまだ戻らない・・・

悲しみのまま新年を迎えた


面会謝絶が解け

毎日のように見舞い客が訪れた


メンバーは薫を誘った事を悔いていた


どう見てもツッパリで世間に背を向けた

涙なんて似合わない彼らが

みんな泣いていた


傷心しきった様子の少し派手な

陽菜という女の子が私に気付いた


「薫の彼女さんですか・・・?」

「はい・・・」


私はその時の状況を聞いた

彼女だけには薫は本心を語っていた


「あの・・・真琴ちゃん?」

「はい・・・」


陽菜は語り始めた


大好きな彼女のため

一緒に夢を叶えるため

過去の自分から

立ち直る約束をした事


だがそれ以前から約束していた

仲間を裏切る事が

どうしても出来なかった事


これを最後と心に決め

この日仲間の元に行った事


もう涙で言葉が聞き取れない


「ホンマにごめんなさい・・・

私らが薫をこんな目に合わせて・・・」


二人で泣いた

二人だけではない 

みんな泣いていた


私も自分を責めた

(何で薫の気持ちに気付いて

あげられへんかったんやろう・・・)


親と喧嘩してでも薫と朝まで

過ごせばよかった



私の頭と心を『後悔』という

二文字が支配した・・・