泣きたかった・・・

真琴の胸の中で思いっきり泣きたかった


でも薫は昔の仲間を選んだ


真琴の前でボロボロの自分を

見せる事は出来なかった

カッコいい男でいたかった


暫く置きっぱなしになっていた

バイクにまたがり

薫は夜の街に消えていった


向かったのは地元のコンビニ

薫が選んだ逃げ場所はここだった


「あれっ!?薫やんけ~」

「久々やのう~元気やったか?」


次々に寄ってくるツレの顔が懐かしい

一瞬で時間が戻った


それぞれの事情を抱えた同じ境遇の仲間とは

素のままの自分でいられる


そのまま彼らは深夜の街をバイクで飛ばした


彼らは何も聞かない

言葉なんかじゃなく心が繋がっている


風が気持ちいい


爆音が悲しみを吹き飛ばしてくれる

そんな気がしてた・・・