秋に薫の両親が一時帰国した

響と薫の兄弟と叔母さんも同席している


重苦しい空気 ただならぬ状況の中

父親が口を開いた


「私と母さんは離婚しようと思っている・・・」


海外にもっと手を広げ事業を拡大したい父と

それに反対する母


若くして独立し苦労してきた父には

野望があった


それについてきた母だったが

ずっと今まで子供を犠牲にしてきた

負い目があり

もうこれからはその分子供たちと

過ごしたかった


その結果二人は別れて別の人生を

送る事になった 


高校生の響は『大人はこんなもんや』

とどこか冷めていたが 

まだ14歳の薫には親の勝手が許せなかった


(またこうかよ・・・

自分らの勝手で俺らを放ったらかしに

しといて今さら何やねん・・・)


「例え離婚しても父さんはずっと

お前らの親や!何でも言うてくれ」


父が言い終わらないうちに薫は席をたった


両親の前で涙は見せたくなかった


自分が負けたような気がして

どうしてもその場には

居たくなかったんだ・・・