「じゃあここに連名で署名捺印してね!」

事務的に看護婦さんが言った

(こんなもんなんか・・・

一つの命が消えるのに)


薫はなぜか悲しかった

憂いを含んだ薫の顔はやけに

大人びて見えた


「村田さーん 

用意ができたんで入って下さい」


彼女が処置室に入っていった


もう泣いてはいない

何かを覚悟したように

しっかりした表情で・・・


待合室のソファーで座っていると

周りの人間がジロジロ見ていく



それを見ていた年配の看護婦さんが

俺を呼んだ

そこに居ずらそうな俺を見て

別の待合室に通してくれた


そして言った

「あんたらまだ中学生ちゃうの?

愛し合う事は素晴らしい事やけど

ちょっと早すぎるね

傷つくのは彼女なんやから・・・」


(オイって~!!!完全に子供の父親に

されてもうてる・・・)


たまらず俺は言った


「今日付き添いで来たんです!

俺やったらヤル事やっても

失敗しませんよ!」

口角を上げて笑顔を見せた


「まぁ!オマセな事言うんやねぇ~

おばちゃんとこにも

同じ年位の娘がおるんよ」

その看護婦さんと少しだけ話した



(この男の子の顔・・・

どっかで見たような気がするんやけど・・・)


その看護婦さんはユカリの母親だった・・・