〜次の日のみんなが寝静まった夜〜


元々ネアカなマームだったが、元気に姿を見られて以来、実はずっと元気がなかった。

もちろん元気が見ている前では、そんなそぶりさえ見せなかったが…

マームは大一番の仕事の後、元気ともお別れをしなくてはならなかった…
そして、それ以上に気になるのはやはり、元気に対して何がおこるのかが、不安でたまらなかった…

はたしてマームの今の力でそれを確実に、防ぐ事ができるのか?
それとも前のように…



マームの初仕事は、中学一年生の男の子だった。

前任の仕事ぶりから、途中解雇という形になり、マームがその後を引き継いだ!
もっと前もって手を打っていたら、状況も今よりは少しはましになっていたはずなのだが… 学校でいじめにあい、それ以来、家(殻)に閉じこもり、ゲームに明け暮れる毎日を過ごしていた。
その時は姿を見せる事こそなかったが、初めての仕事に少し、イレ込んでいるところも、今を思えばあったように思えた。

マームは、その子の思い通りにやってあげるのが良い仕事だと勘違いをしていた。
ゲームも必ずクリアーさせてあげたし、おやつもお母さんの買い物かごに入るようにもしむけた。
しかし、…叱咤激励をするような出来事は一度もおこせなかった。


マームの初仕事は、前任に引き続き途中交代となり、その後マームが大変尊敬をしている、コーアという先生が担当となり、見事にその子は更正した。
しかし、マームにとっては後味の悪いデビューとなった…




マームは元気のかわいい寝姿を見ながら、指を少し上にあげ、ふとんをフワッと魔法のジュータンのように空中に浮かして、もう一度かけ直してあげた…



…元気とのお別れまであと少し…
雲の流れが少しづつ変わり、どちらに向かおうか風に聞いていた…