海賊船リメア号…―。

海賊達に知っているかと問えば、きっとこう返って来るだろう。


『あぁ、あの子どもしかいない海賊船の事か』


―…と。









「アリッシュー!俺もうマジで限界なんだけど!」


「さっきからうるせぇよ、ラン。もう少しでヴェネツィアの街に着くから、黙ってろ」

アリッシュは、駄々をこねるランを睨んで黙らせると、周りを見回す。

「って、もう皆限界なのか……」


リメア号の甲板の上、アリッシュを除いた11人の少年少女が、ぐたっと力なく座り込んでいた。