「笠原~英語の宿題やってきたー?」

「もうっ、また?」


文化祭が終わってから、神林くんと喋るのが前より自然なことのようになった。

って言ってもテスト前からこんなのばっかりな気がするけど……。


「自分でやんないとできるようになんないよ」

「って言いながら見してくれんだよね」


でもやっぱり、運動部の人は勉強との両立、たいへんなんだろぉな。

うちは進学校だけど部活もけっこうさかんだから、きちんと課題を毎週こなしてくる人って少ないし。


課題を写す神林くんを眺めてると、

「そういや、今朝通んなかったよな?」

ぎくり。

なんのことか言わなくても通じるくらい、習慣化した、朝の体育館前での挨拶。


「じ、実は……テストの成績下がって親に怒られちゃって、しばらく控えることにしたの! そのぶん朝、家で勉強してる」

「はぁ!? 俺より全然成績いいだろ! まじかー厳しいんだ、親」

「うーん、厳しい、かな? いままであんまり悪い成績とったことなかったから怒られたこともなかったんだけど……」

「わーお、俺とは次元が違うわ。でも、そっかー、さみしーなー」


「え?」


「朝、いつも会ってたから変な感じ」


さみしい……の???