『げーっあんたのお母さんそんなに教育ママだったっけ!? 意味わかんないわ、32番とか十分上位じゃん』

「んーまぁこんなにガクンと落ちたのは初めてだったし……」


急に成績が落ちてびっくりされたのかもしれない。

そういえば最近はこんな風に怒られたことってなかったなぁ。


お母さんいつも忙しくて、目に見えてるとこだけちゃんとしてれば口はさんでこなかったから……。


でも、弓美のほうが電話の向こうでわーわー言ってくれてるから、わたしは意外と冷静でいられる。


『それで素直に従って表彰式も行かなかったわけ?』

「うん、結局。成績落ちたのは事実だから、しばらく絵にかける時間は減らすつもり」

『真面目〜表彰式もったいなかったね〜』

「まぁ、ね。でも今大人しくしとけばどうせ本人が忙しくてわたしのことなんか見てられなくなるから、ちょっとの辛抱かなと思って」


実際、朝は同じくらいに出て、夜は全然帰ってこないし休日出勤もしょっちゅう。

だから監視されるわけじゃないし。


『お父さんは? なんか言わないの?』

「うーん、最近は仕事であんまり帰ってこないからなんにも知らない」


ひととおり弓美に事情を話し、朝早く行かないから明日から一緒に学校に行こうと約束して電話を切った。