「わたし、あいつらのこと許せない……! でもそれ以上に! なんで弥白は黙ってたの!? どうして言ってくれないの! 怒る権利だって訴える権利だって十分あるのに! あたしっあんたに怒ってんだからね!!」
どっちも、か。
ごめん、弓美、ごめんね。
「そうやって弓美が泣くから……大きい騒ぎにしたくなかったから。それにほら、修復不可能じゃなかったし」
「弥白は優しすぎるの!」
優しい?
わたしが?
ちがうよ、本当に弱虫なだけだよ。
騒がれるのも嫌だし、もし先生に訴えて逆恨みされたらもっと怖いし、文化祭を楽しめなくなっちゃうのだけは避けたかったんだ。
せっかく弓美と同じクラスで、いい人も多くて、なじめてきてるのに。
それに……クラスの中でもそんなに仲良くない人には、わたしのせいだって言われてしまうかもしれない。
わたしが弱虫でふがいないから、F組にバカにされんだって。
わたしなんかに垂れ幕を任せるんじゃなかったって、言われるかもしれない。
それが怖かったんだよ。
優しくなんてないんだよ。
でももし弓美がわたしを優しいって言ってくれるなら、それは弓美が優しいんだよ。