「交代するね〜」

入り口で受付をしていたひとちゃんに声をかける。


「あ、ありがとう」

「小野くんとまわるんでしょ?」


小野くんとひとちゃんの休憩が被ってたのは、今日の午後だけだったはず。


そう思ってなるべくさりげなくきいたのに、ひとちゃんが一気に赤くなる。


「ちょっ、弥白ってば!」


「あれ、違うの?」

「……違わない、けど」


ふふ、やっぱりひとちゃんはかわいい。


小柄でよく動く手足、くるくる変わる表情、キラキラした眼、ふわふわの髪。


わたしとは全然違うね。


「まだ付き合ってないの?」


ぶんぶん首を振るひとちゃん。

でもきっと、時間の問題じゃないかな。


だって、ほら。


「瞳、お待たせ」


瞳、だって!


小野くんと楽しそうに歩いてくひとちゃんを見送る。


うーん、友達の恋愛なら冷静に見守ってられるんだなぁ。


いや、またしばらく、恋愛なんてわたしに関係ない話だしね!


今日は受付がんばるんだから!